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《九重墨花》同居から別居に至るまで

息子が彼女を紹介してくれてから、3年目。

 

両家の顔合わせがあった。

 

その席で息子は、向こうのご両親にこう告げた。

 

「結婚するにあたって、条件があります。
ひとり親なので、親との同居が条件です」

 

それを聞いた私は、驚いた。

 

そして――
「幸せ」を感じた。

 

もう、その言葉だけで。
その想いだけで、胸がいっぱいになった。

 

息子とは、友達みたいな関係。

だからきっと、
お嫁さんとも友達みたいな感覚になれるかもしれない。

 

そんな淡い期待を胸に抱いて、私は嬉しかった。

 

「思ってくれている」

 

その言葉だけで、もう十分だった。

 

むしろ、現実にしてしまったら、
この夢が覚めてしまうんじゃないか。

そんな怖ささえあった。

 

そして、その一年後。

 

息子は家を買い、
私たちの同居が始まった。

 

家財道具を捨て、家電も処分して、
大きな断捨離をして新居へ引っ越した。

 

新居を決めたのは、お嫁さん。

 

私の意見を聞いてもらうことはほとんどなく、
私は黙って従った。

 

それでも――

 

新しい生活が始まる。

孫もいる生活が始まる。

 

お金も家事も助け合って、
みんなで楽しい我が家を作っていこう。

 

そう夢を膨らませて、
新しい生活をスタートさせた。

 

 

……でも。

 

現実は、
やっぱり甘くなかった。

つづく

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