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甲――まっすぐ生きたい人が、なぜ生きづらくなるのか 四柱推命で読む「あなたという自然」①

四柱推命では、

その人の本質を表すものの一つとして、

日干(にっかん)

というものを見ます。

日干には、

甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。

全部で十種類あります。

これを十干といいます。

十干は単なる性格分類ではありません。

昔の人は、

人間もまた自然の一部だと考えました。

だから、

人の性質を、

木。

火。

土。

金。

水。

という自然界の姿になぞらえて見ていったのです。

今回から、

この十干を一つずつ見ていきたいと思います。

第一回は、

甲(きのえ)

です。

甲は、大きな樹木

甲は、

五行では「木」。

自然界にたとえるなら、

大きな樹木です。

地面にしっかりと根を張り、

空へ向かって、

まっすぐ伸びていく。

そんな姿をしています。

ですから甲の人には、

自分なりの信念を持つ。

筋を通す。

一度決めたことを簡単には曲げない。

時間をかけて成長する。

そんな性質が現れやすいと言われています。

周囲から見ると、

頼りがいのある人。

真面目な人。

一本筋の通った人。

そんな印象を持たれることもあるでしょう。

けれど、

甲の人の「まっすぐさ」は、

ときに生きづらさにもなります。

「納得できないこと」に弱い

大きな木を想像してみてください。

風が吹けば、

枝は揺れます。

けれど、

幹そのものが、

簡単にくねくね曲がるわけではありません。

甲の人も、

それと少し似ています。

自分の中で、

「これは違う」

「これは納得できない」

と思ったことに対して、

器用に合わせ続けることが苦手な場合があります。

もちろん、

社会で生きていれば、

自分の思い通りにならないことはたくさんあります。

上司の方針。

会社のルール。

家族からの期待。

人間関係の空気。

頭では、

「ここは合わせたほうがいい」

と分かっている。

けれど、

心の奥では、

どうしても納得できない。

それでも我慢して合わせ続けていると、

甲の人は、

少しずつ元気を失っていくことがあります。

頑固さは、本当に欠点なのか

甲の人は、

ときに、

「頑固ですね」

「融通が利きませんね」

と言われることがあります。

もちろん、

何でも自分のやり方にこだわれば、

人間関係が難しくなることもあります。

けれど、

私は、

甲の頑固さを、

単純な欠点だとは思いません。

それはもしかすると、

「自分はどう生きたいのか」

という軸を、

簡単には手放さない強さでもあるからです。

木にとって、

幹はとても大切です。

枝は切ることができます。

葉は落ち、

また新しい葉が出てきます。

けれど、

幹そのものが失われれば、

その木は、

その木らしい姿を保てなくなります。

人間も同じです。

人に合わせることは必要です。

考え方を変えることも必要です。

けれど、

自分の中にある、

どうしても譲れないものまで手放してしまうと、

今度は、

自分が何者なのか分からなくなってしまう。

甲の人にとって大切なのは、

何でも貫き通すことではありません。

どこなら曲げてもよくて、
どこだけは守りたいのか。

それを知ることです。

甲は、環境によって姿が変わる

ここで、

四柱推命の面白いところがあります。

実は、

同じ甲の人でも、

みんな同じ性格になるわけではありません。

春の甲。

夏の甲。

秋の甲。

冬の甲。

生まれた季節によって、

同じ木でも状態は大きく変わります。

春なら、

これから勢いよく伸びていく若木かもしれません。

夏なら、

強い日差しを浴びて、

水を必要としている木かもしれない。

秋なら、

枝を整え、

実を結ぶ時期に入っているかもしれません。

冬なら、

一見静かでも、

地中で春を待っている木かもしれません。

さらに、

命式の中に水が多いのか。

火が強いのか。

土が多いのか。

金があるのか。

周囲にどんな五行があるかによっても、

甲の姿は変わります。

つまり、

「甲だから、あなたはこういう人です」

とは、

本当は簡単には言えないのです。

あなたという木は、どこなら伸びるのか

私は、

四柱推命の面白さは、

人を型にはめるところにはないと思っています。

むしろ、

その人が、

どんな環境なら自然に力を出せるのか

を見るところにあります。

たとえば、

立派な木でも、

根を張れない場所に植えられれば、

うまく育つことができません。

日光が必要な木を、

暗い場所に置けば、

元気を失います。

反対に、

その木に合った土地へ移せば、

驚くほど伸び始めることもあります。

私たち人間も、

それと同じなのかもしれません。

「私は根性がない」

「私は人付き合いが苦手」

「どうして私は、普通の人のようにできないのだろう」

そう思っていたことが、

実は能力の問題ではなく、

自分の性質と環境が合っていなかっただけ

ということもあります。

四柱推命は、

そんな自分の「自然」を知るための一つの地図です。

甲の人なら、

自分のまっすぐさを、

無理に折る必要はありません。

けれど、

ただ頑固に立ち続けるだけでもありません。

どこに根を張るのか。

どんな枝を伸ばすのか。

どの枝を切るのか。

そして、

どちらへ向かって伸びていくのか。

そこまで見えてくると、

同じ甲でも、

人生の景色はずいぶん違って見えてきます。

もし、

「自分の日干は甲だけれど、あまり当てはまらない」

あるいは、

「確かに甲らしいけれど、なぜ私はこんなに生きづらいのだろう」

と感じたなら、

それは命式全体を見る入口なのかもしれません。

四柱推命は、

一文字だけで人生を決める占いではありません。

あなたの命式の中で、

甲がどんな土地に立ち、

どんな季節を生き、

どんな風を受けているのか。

そこを見ていくことで、

初めて、

「あなたという一本の木」

が見えてきます。

次回は、

しなやかな草花にたとえられる、

乙(きのと)

について見ていきます。

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