公務員で仕事も収入も安定している。それなのに、なぜか満たされない ――マジシャン正位置が教える「まだ使っていない自分」の見つけ方
「主人は公務員で、仕事も収入も安定しています」
そんなご相談がありました。
大きな不満があるわけではない。
職場でひどい問題を抱えているわけでもない。
生活もきちんと成り立っている。
けれど、日々一緒に暮らしていると、
どこかモヤッとしているように見える。
疲れているというより、
少し行き詰まっているような。
何かに不満があるというより、
「このままでいいのかな」
という気配が、ときどき伝わってくる。
奥様も、
「何か達成感がないのでしょうか」
「でも、本人に聞いても、特に不満はないと言うんです」
と話していました。
そこで、
「主人は今、どうしたらいいのでしょうか」
とタロットを引いたところ、
出たのは、
マジシャン・正位置。
このカードを見たとき、私はまず、
「行き詰まっているのではなく、“まだ使っていない自分”があるのではないか」
と感じました。
マジシャンは「ゼロから一を生み出す人」
マジシャンは、タロットの「1」のカードです。
目の前のテーブルには、
ワンド。
カップ。
ソード。
ペンタクル。
タロットを構成する四つの道具が、すでにすべて揃っています。
つまりこのカードは、
「何かが足りない」
というより、
「もう材料は揃っている。あとは、それをどう使うか」
というカードです。
今回のご主人にも、そこがよく重なります。
仕事がないわけではない。
収入に困っているわけでもない。
社会的な立場も安定している。
能力がないわけでもない。
むしろ、
人生を成り立たせるために必要なものは、かなり揃っている。
それなのに、なぜか満たされない。
だとしたら、
不足しているのは「安定」ではなく、
自分の力を使って、何かを生み出しているという感覚
なのかもしれません。
安定したあとに始まる、もう一つの問い
若い頃は、
仕事に就く。
生活を安定させる。
収入を得る。
家庭を守る。
そうしたことが、大きな目標になることがあります。
そして、それを一つずつ達成していく。
けれど、人は不思議なもので、
かつて欲しかった安定を手に入れたあと、それだけでは満たされなくなることがあります。
そこで始まるのが、
「では、この安定した人生を使って、私は何をしたいのだろう」
という問いです。
マジシャンは、
まさにその問いを持つカードでもあります。
誰かに与えられた役割を果たすだけではなく、
自分の意思で何かを始める。
自分の持っているものを使う。
自分の考えを形にする。
自分から世界へ働きかける。
そこに、生きている実感が戻ってくることがあります。
「もっと頑張って働く」ではない
ここで大切なのは、
マジシャンが、
「もっと仕事を頑張りなさい」
と言っているわけではないことです。
公務員の仕事は、多くの場合、
組織の中で決められた役割を果たすことが求められます。
制度があり、
手順があり、
責任がある。
社会を支える大切な仕事です。
一方で、
「自分なら、こうしてみたい」
「こんなものをつくってみたい」
「誰にも言われていないけれど、これを始めてみたい」
という、
自分発の衝動
を使う場面は、少なくなることがあります。
だからこそ、
仕事そのものを辞める必要はなくても、
人生のどこかに、
「これは自分が始めた」
と言えるものが必要なのかもしれません。
大きなことを始めなくてもいい
マジシャンというと、
起業する。
転職する。
新しい事業を始める。
そんな大きな変化を想像するかもしれません。
でも、私はそこまで大げさに考えなくてもいいと思います。
たとえば、
昔やりたかったことを始める。
趣味を深める。
資格の勉強をする。
文章を書く。
何かを教える。
地域の活動に参加する。
ものをつくる。
旅行を自分で企画する。
家の中で小さなプロジェクトを始める。
どんなことでも構いません。
大切なのは、
「誰かに言われたからやる」のではなく、「自分がやりたいから始める」こと。
その感覚です。
マジシャンは、
自分の内側にあるものを、
現実の世界へ差し出していくカードです。
だから今回のご主人が求めているのも、
刺激そのものではなく、
「自分が働きかけた結果、何かが生まれた」
という手応えなのかもしれません。
奥様ができること
そして、
「妻として、どうしたらいいのでしょうか」
という問いに対しても、
マジシャンはヒントをくれます。
無理に原因を突き止めようとしなくてもいいと思います。
「何が不満なの?」
「仕事を辞めたいの?」
「人生、楽しくないの?」
と聞かれると、
本人も答えに困るかもしれません。
なぜなら、
本当に「不満」があるわけではないからです。
そんなときは、
少し違う問いを投げてみる。
「仕事と関係なく、やってみたいことってある?」
「昔好きだったことで、最近やっていないものってある?」
「時間があったら、何をしてみたい?」
「今までの経験を使って、何かするとしたら?」
こういう問いなら、
ご主人の中に眠っているものが、
少しずつ言葉になるかもしれません。
答えがすぐに出なくても大丈夫です。
マジシャンは、
「あなたの中には、もう材料があります」
と伝えるカードだからです。
人生を変えるより、自分から始める
今回のご相談を、
「公務員生活に飽きた」
「仕事が向いていない」
と単純に考える必要はないと思います。
むしろ、
安定を手に入れたからこそ、その先が見え始めた。
そんな時期なのではないでしょうか。
これまでは、
生活を守るために働いてきた。
家族を支えるために働いてきた。
社会の中で役割を果たしてきた。
では、これからは。
自分の力を、何に使いたいのか。
その問いが始まっている。
マジシャン正位置は、
とても希望のあるカードです。
何かが欠けているのではありません。
むしろ、
まだ表に出していない力がある。
まだ使っていない経験がある。
まだ始めていないことがある。
今回のモヤモヤは、
行き止まりのサインではなく、
「そろそろ、自分から何かを始めてみませんか」
という、内側からのノックなのかもしれません。
人生そのものを変える必要はない。
まずは、
小さくてもいいから、
自分の意思で何かを始めてみる。
そこから、止まっていた感覚がもう一度動き始めるのではないでしょうか。

